今月のトピックは、
- オーストラリア国外からの所得
- Taxable Payment Annual Report (TPAR)
- ATOがやってくる・・・かも?
- 医療懇談会へのお誘い
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オーストラリア国外からの所得
5年ほど前になりますが、オーストラリア国税局(ATO)は、国外からの所得を申告していない場合には、「過去の分を今申告すれば、罰金を課さないので、奮って申告しましょう。」という、いわゆる恩赦を発表しました。 5年経った今、ATOは、再度、申告されていない外国からの収入について、警告を発しています(でも、恩赦はなし)。
外国からの収入が、オーストラリアで課税対象になるか否かは、納税者が税金上の居住者であるか非居住者であるかにより決まります。税金上の居住者である場合には、基本的には、世界中からの収入が課税対象となります。しかし、非居住者であれば、オーストラリア国内からの収入のみが課税対象となります。非居住者の場合には非課税額は適用されず、最初の$1から32.5%の税金が課税されます(累進課税が適用されるので、所得により税率が上がります)。利息や配当などの投資収入については、租税条約により、低い税率により源泉徴収されます(例えば、日豪租税条約においては、利息については、10%の源泉徴収税が適用)。
また、一口に「税金上の居住者」と言っても、中には、永住権や市民権はないけれども、暫定的に、オーストラリアに居住することが許可されている暫定ビザ保持者の方もいらっしゃいます(Temporary Resident Visa)。このカテゴリーに当てはまり、尚且つ配偶者が永住権や市民権を持たない納税者については、オーストラリア国外からの事業所得や雇用所得を除いては、外国からの収入は、課税対象となりません。
ご自分の状況を判断する上で、特に以下の点にご注意ください。
(1) 一定の期間、国外で就労していたからと言って、その期間、必ずしも非居住者であるとは言えない。
(2) 外国からの収入については、その国で課税しているので、ATOに申告する必要がないと思っている方もいらっしゃいます。例えその国で納税していても、ATOに対する申告義務はあります。外国で納税した税金は、ATOに納税する税金から控除されますので、二重に課税されるということではありません。
ATOは、65か国と、納税者に関する情報共有をしているということです。ご自身のオーストラリア国外からの収入がATOにとって課税対象であると思われる方、または、ご自分は大丈夫か心配な方は、ご相談くださいませ。
Taxable Payment Annual Report (TPAR)
以前からお知らせしておりますが、以下の業界の事業主は、コントラクターへの支払いがある場合には、それぞれのコントラクターへの年間の支払い合計を集計したTaxable Payment Annual ReportをATOに対して提出する義務があります。
対象となる業界
- 建築業
- 清掃業
- 配達業
- 道路貨物運送業
- ITサービス
- セキュリティー、調査・監視業
- 専門は他の業務であるが、上記業務のいずれかを提供する業界
TPARの申告延長も認められますが、本来の申告期限は、8月26日です。 これらの事業主により支払いの申告をされたコントラクターについては、それぞれのABNや氏名等がATOに報告されています。 各コントラクターがABNによる収入を申告する際に、TPARにより報告された支払いとでクロスチェックがされる仕組みです。契約先から提出された支払いの詳細と、コントラクター自身による収入の辻褄が合わないと、監査の対象になる可能性がありますので、ご注意ください。
ATOがやってくる・・・かも?
Black Economyという言葉を、お聞きになったことありますか? いわゆる闇取引、現金による取引、ATOに申告していない取引がされている状況を指します。先にご案内したTPARも、まさにBlack Economyを阻止するためのツールとなります。
このBlack Economy阻止の一環として、ATOは、オーストラリア中の「選ばれた」事業主を訪問すると発表しました。もちろん、すべての事業主を訪問できるはずはなく、「訪問した方が良い」と思われた事業主のみが対象です。選ばれてしまう可能性がある事業主は、例えば、従業員に現金で支払いをしているという噂がある事業主、所得税や消費税申告の内容にそぐわないような華美な生活を送っていると思われている事業主等のようです。
訪問する地域が決まった場合には、例えば、私どものような会計事務所に、「おたくのクライアントさんが事業を行っている地域をx月〇日から訪問します。それに先立って、説明会を開きます。」といったお知らせが来る・・・としています。 そういった情報が届きましたら、対象となりそうな方には、お知らせします。
尚、下記の業界が「訪問」を受けやすいということです。会計事務所も対象というのが、笑えません(汗)。
- 居住用物件建築業
- Building completion and installation services(英語で記載しましたが、恐らく建物が完成した後の清掃業、電気製品のインストールをする業界、カーペット業者などではないかと思います)
- その他の建築サービス業
- 清掃業、害虫駆除業、ガーデニング業
- 宿泊業
- 医薬品業などその他の店舗
- 車両整備、メインテナンス
- カフェ、レストラン、テークアウト
- パーソナルケアサービス
- 法律・会計事務所
- コンピュータシステムのデザインと関連サービス
- 成人、地域、その他の教育サービス
これ、ほとんどの事業主が対象ですね・・・
2019/20年度内に一万件の事業を訪問する予定だということです。
医療懇談会へのお誘い
別のメールで詳細をご案内しておりますが、来る10月19日(土曜日)に、日本大使館の医療・保健担当の栗田実参事官による医療懇談会が開催されます。オーストラリアと日本とでは医療の制度や、考え方が異なります。とても良い機会ですので、ぜひ奮ってご参加ください。参加費は無料です。
上記の内容について、ご質問やコメントがありましたら、以下までどうぞ!