連邦政府予算案による、居住投資物件オーナーへの影響!!
2017年5月9日に、オーストラリア連邦政府により発表された予算案は、不動産への投資をされている納税者には厳しいものになっています。 特に外国人オーナーへの影響は大きなものとなりました。
外国人オーナーへの影響
- 新規開発された不動産:外国人所有率を制限
これまでは、開発業者が、新築物件を開発するにあたり、事前にFIRB (外資審議会)という政府機関から許可を得ることで、長期滞在ビザを持たない外国人* の所有率に制限はありませんでした。 しかし、2017年5月9日7:30PM以降に申請された新規開発物件については、外国人の所有率は50%までということになります。
*FIRBの定義による「外国人」が、ここでは適用されますので、詳細は、弁護士にご相談ください。
- フルに活用されていない居住用物件には新たに課税!?
外国人所有のオーストラリアの居住用物件は、完全に「別荘」として利用されている場合が多く、オーナー不在期間は、誰も住んでいないことも多々あります。 そのようにフルに活用されてない居住用物件については、政府は、新たな課税をするとしています。
1年のうち最低でも6か月利用されていない、または賃貸市場に出されていない場合には、毎年、最低$5,000が課税されるとしています。毎年の課税額は、FIRB (外資審議会)への外国人所有申請料と同額とされており、今現在、最低料金が$5,000となっています。
オーストラリアの不動産賃貸市場では、賃貸物件が不足しています。 そのため、この予算案は、外国人オーナーに有益に利用されていない不動産を、より多くのオーストラリア人に提供することが目的とされています。
- 外国人所有の居住用物件を売却する際の源泉徴収税率引き上げ
2017年7月1日以降に契約が成立する外国人所有の居住用不動産売却で、契約売却額が$750,000以上である場合には、12.5%の源泉徴収をすることになります。(現在は$2,000,000以上の物件に対して10%)。 最終的にオーストラリア国税局(ATO)に対して、税申告(タックスリターン)を提出することで、年度末の調整を行います(実際の所得より多く支払っていれば還付を受け、少なければ追加を支払う。 実際には、還付されるケースがほとんどかと思われます)。
ここで言う「外国人居住者」とは、税金上の居住者とは異なり、オーストラリア国籍または永住権を持たない個人を指します。
オーストラリア居住者が$2,000,000以上の不動産を売却した場合はClearance certificate(源泉徴収の免除を受けるための証明書)をオーストラリア国税局(ATO)より取得すれば、免税を受けることができます。 取得しなければ外国人と同じ条件となり12.5%の源泉徴収税を支払うこととなります。
- メインレジデンス非課税が廃止に
これまでは、持ち主の住居である居住用物件(メインレジデンス)を売却した場合、売却利益が発生したとしても、課税対象(キャピタルゲイン税)にはなりませんでした。 しかし、この免税措置は、外国人および暫定ビザ所有者には適用されなくなります。2017年5月9日7:30PM以降に購入契約がされた不動産が対象となります。
2017年5月9日7:30PM時点で外国人または暫定ビザ保持者が所有している不動産については、2019年6月30日までに売却して、利益が発生したとしても、免税となります。
外国人である以上、オーストラリアの家に主に住んでいるとは言えない、暫定ビザ保持者の場合には、オーストラリア滞在中居住していても、それは主な居住の家ではないということを、はっきりと法律で決める形となり、これまでグレイであった税法を見直す形となりました。
投資物件所有者への影響
- 物件視察などの旅費が経費として認められなくなる
2017年7月1日より、居住用投資物件に関する、物件視察、メインテナンス、家賃収集のために費やす旅費は、税金上の経費として認められなくなります。しかし、上記の作業を第三者(不動産業者など)に依頼し、発生する費用については、経費と認められます。
物件視察への経費は、これまで経費として認められいましたが、多くの納税者が、個人目的を兼ねた経費として、これらの旅費を経費として申告している結果だと言われています。
- 投資用居住物件に付随する固定資産減価償却が経費として認められなくなる
2017年5月9日7:30PM以降に購入した居住用物件に付随する固定資産については、購入者は減価償却としての経費が認められなくなります。これらの固定資産については、物件の購入価格の一部とみなされるようになります。
これまでは、投資物件を購入し、物件付随してくる取り外しが可能な固定資産(扇風機やディッシュウォッシャーなど)については、新オーナーは、新たに償却年数を見積もって、減価償却を経費として計上することができました。 しかし、前オーナーにより償却が終わっているものが、再度新オーナーにより経費として償却されている例が多くみられるため、新たに償却することができなくなります。
新オーナーが購入する固定資産については、これまで通り、減価償却が認められ、償却費は経費とすることができます。
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