山火事により被害に遭われた方への納税緩和支援
オーストラリア国税局(ATO)は山火事の影響を受けた方々への所得税還付を最優先に行うとし、 また、2013年度10-12月分のアクティビティー・ステイトメント(BAS)と所得税申告の提出期限を 2014年1月28日まで延期するとしています。
自宅や会社の住所が、被害を受けた郵便番号エリア内であれば、特に期日延期の申し立てをする必要はなく自動的に識別され、 またその地域が認定されているかはATOのウェブサイトで確認する事が出来ます。
税務長官のクリス・ジョーダン氏は、被災された方が税務に関する事柄を一番に考えられるはずはなく、 生活環境が整うまで支援していく、認定地域に該当しない場合も、ATOは納付が困難な方々への支援相談を承ると述べています。 (電話番号:1800 806 218)
またATOは納税期限を更に延期したり、火事によって失われた税務記録の復元を手伝います。
本会計年度に’bucket appeals’やその他の災害救援基金に$10以上の寄付をした方は領収書が必要ですが、 $10以下であれば領収書なしに税額控除を申請する事ができます。
新政府による税改革
アボット首相率いる政府が発足し、新政府によって92の税制改革案の見直しが実施されていますが、 未だ税務問題やスーパーァニュエーションの変更に関し制定には至っていません。
政府はこれらの改革案の内、18の税改革の取組みを進める予定で、更に3つの案は大幅に改正し、 7つに関しては取組みを進めないと発表しています。残りの案件の内、取組みを進めるべきものに関しては 2014年7月1日までに議会の審議にかけるとしています。
特に政府は個人やビジネスの納税者に直接影響する下記の3つの案件の見直しは進めない方針です。
●自己教育費控除の上限 トレーニングや教科書代、授業料など雇用に関わる教育経費を、一人につき$2,000までの上限を設けると提案されていた件
●車両フリンジ・ベネフィット税(FBT)、方程式方法(Statutory Formula method)の適用禁止 方程式方法(車両の購入価格や走行距離、および何日間個人目的で車両を使用していたかということが分かれば私用部分が 計算できる簡易方式)の使用を廃止し、Operational method (実際の経費から計算する方法)のみ適用すると提案されてい た件
●年金基金への課税 $100,000を超える年金基金へ課税すると提案されていた件
政府が見直しを進めるとする未制定のものは次の3案です。
●医療費の段階的廃止 – 2013年度に医療費を申告していれば、2014/15年も引き続き税金控除の対象となる
●農業経営預金(FMD)の上限増加 –農業経営預金の非一次生産の上限を$65,000から$100,000に増額
●Dividend washing* – 投資家によるFranking creditの二重申請を防ぐ
*配当が決まった株を、売却し、それと同じまたは同様の株を購入することにより、 二重のFranking Credit(納税済み法人税)を申請すること。
セルフ・マネージド・スーパーファンドに関するアップデート
ATO のコンプライアンス
ATOは、以下の点に注目するとしています。
●新信託者がSMSFを運営できるように、また彼らが、リタイア前に不法にファンドからお金を引き出さないようにする。
●信託者が自分たちの義務を理解すること。 会計士は、(信託者の)義務を理解するように手助けはするものの、 実際に責任を負うのは信託者自信であるということを理解させる。
●毎年の税申告を期限までに申告すること(2年以上申告が遅れた場合には、Super Fund Lookup のホームページから、 その詳細が削除され、APRA (オーストラリア規制当局)に登録されるSMSF以外のファンドからの積立金のロールオーバーや 従業員へのスーパー積み立てが出来なくなる可能性がある)。
●新しいファンドについては、ATOの規制に従っているコンプライアンスファンドであることを 証明する“notice of Compliance”を受けとる資格があるのかを確認すること
●免税対象となる年金を不定期に支払っていないか?また商業的でない取引はないか?
●積立を二重に申告をしていないのか確認。また、上限以上の積み立てをした場合には税金が課せられるるということに 留意する。
●ホリデー旅費をSMSFで投資経費として信託者が申告していないか?
●ファンドの税申告書が、認可されたSMSFの監査により監査されているか?信託者としての義務を十分に 理解していない場合には、ATOはそれに見合った処置をすると警告。
関連者との取引
SMSF監査から、最も頻繁に報告される違法な行為は、信託者による関連者への不法な投資や取引に関するものです。
例として、SMSFのメンバーやその親族への貸付や、財政援助を提供することです。これらの行為は禁止されています。
よくあるのが、メンバーに貸し付けをする場合、実際には純粋な貸付ではなくて、メンバーが年金受け取ることが 出来る年齢に達する前に、ファンドの資産を貸して、それを使ってしまうということです。
不動産業界へのASICの警告
オーストラリア証券取引委員会(ASIC) は、不動産業者が、SMSFを使って投資をすることを勧める場合、
そのようなアドバイスをするのに適切なライセンスを持っていなければいけないと警告しています。
不動産に投資するの際、SMSFを使うことを勧めたり意見を述べるということは、「金融商品についてのアドバイス」を
提供するのであり、その場合にはオーストラリア金融サービス(AFS)のライセンスを保持していなければいけないという
ことを、不動産業者は認識していない場合もあるとしています。
注釈: こういった行為は、不動産業者の問題ではありますが、SMSFの信託者は、適切な資格を保持する人物からの
アドバイスを受けるように心がけなければなりません。
ATOが注目する仕事関連経費の請求
本年度、特にATOが注意している企業と職業。
●建設業のプロジェクトマネージャーとスーパーバイザー
●建設会社従業
●セールス・マーケティングマネージャー
注目するものとしてATOが挙げている経費
● 旅費の請求 ● 大きな機材を運ぶ為の通勤車両経費の請求
ATO データ照合プログラム
ATO はセンターリンク福祉課より’介護手当’や’介護手当ヘルスケアカード’を受けている約60万の個人記録の収集を要求しており、 扶養(疾病や介護)税額控除が正確に申請されているか確認する方針です。
※内容について、ご質問がある場合には、当所にお問い合わせください。 ※本書の内容は、一般的です。個々の状況を判断・決定する場合には、必ず専門家にご相談ください。 ブリース洋子公認会計士事務所 では、『会社設立』のお手伝いもしております。 まずは気軽にお問い合わせください。 E-mail: yoko@ybabs.com.au Web: www.ybabs.com.au