新政府、税法はどう変る?
9月の選挙の結果、アボット首相率いる政府が発足しました。 選挙活動中に、新政府が約束した税改革の内容を見てみましょう。.
以下がそのうちの重要な約束内容です(日程の指定はありませんが)
● 自己教育費控除: $2,000までの教育費控除上限が撤回される
● フリンジ・ベネフィット税(FBT) と車両: 方程式方法(車両の購入価格や走行距離、および何日間個人目的で車両を使用していたかということが分かれば私用部分が計算できる簡易方式)の廃止を中止する
● 法人税が2015年7月1日より、現在の30%から 28.5% にカット
● 次回の選挙まで消費税率に変化なし(税制改革白書の中では、変更を提案する可能性はある)
● 炭素税廃止
● 鉱山資源利用税(MRRT)廃止
● 法人の欠損金の繰り戻し還付の廃止
● 小規模事業の固定資産減価償却特別一括控除の廃止(現在は$6500まで一括で控除できます)
● 小規模事業の車両減価償却一括控除の廃止(現在は$5,000の一括控除ができます).
● 税所得が$500万以上の会社に対して1.5%の特別課税導入。 これを育児休暇の財源とする。2015年7月1日より、母親の給与($150,000の上限)または少なくとも国の最低賃金(どちらか多い方)およびスーパーを6ヶ月、産休中保証することができるとしています。
● 雇用主が積み立てる最低法定率が9% から 12%に増加する。 しかしこの増加を、当所2019年までに達成する予定だったのを、2年遅らせる予定
FBT監査、ATOは今?
注釈: ATOによると、納税者がFBTの対象となる可能性があるかどうかを判断するために、他の部署からの協力を得ているということです。
■ FBTの申告をしていない雇用主について
ATOの職員たちは、FBTの対象となりそうな要素が見られる雇用主について、確認するように指導を受けているとのことです。
例えば、雇用主が事業名で車両を所有している場合でFBT申告がされていない場合、または従業員からの(車両を私用した分に対する)支払いが、税申告上無い場合などが、それらの監査の対象になるようです。
また、新たにFBTに関するトレーニングが、ATO職員に対して行われるということです。
FBT: 2人の従業員が同じ社用車を使ったら?
注釈: “ログブックを使用している2人の従業員が同じ車を使いながらも、その車の業務使用率が異なる場合はどう計算するのか?” その場合は2人の使用平均率を使います。
例
XYZ Pty Ltd は従業員Aに対し、2013年会計年度初めの4か月間社用車を与えました。その期間、従業員Aは12週間分、ログブックをつけていました。
その後、従業員Aは会社を辞め、その社用車は従業員Bに与えられました。 従業員Bの仕事の役割は従業員Aのものとは本質的に異なる為、彼女も12週間ログブックをつけていました。
ログブックに基づく従業員の内訳と業務使用率は下記の通りです。
従業員 | ビジネスkms | 合計 kms | ビジネス% |
A | 32,040 | 36,000 | 89% |
B | 3,480 | 6,000 | 58% |
上記を基に、業務使用率はその車を使用していた期間内の合計業務走行距離を合計走行距離で割って計算します。
例) 32,040 + 3,480 = 35,520 ÷ 42,000 =84.57%
翌年は従業員Bのログブックに基づき58%を使用します。
2013年12月四半期 GIC & SIC 新レート
2013年12月四半期のGCI (ATOの一般的な利率)とSIC (不足分に対する利率)が発表されました。
GIC 年間レート | 9.6% |
GIC 日割りレート | 0.02630137% |
SIC 年間レート | 5.6% |
SIC 日割りレート | 0.01534246% |
衝撃!公平ではない判断!?
注釈: 以下に会計士による税金に関するアドバイスの必要性を記す良い例として3つのケースを挙げています。
ケース1は、資産を売却した納税者が、買主から全額決済されなかったにも関わらず、あたかも受け取ったかの様にその資産にかかる税金を払わなければならなかったという悲しいお話しです。
このケースでは、買主が購入額の全額を決済出来ず、売主はベンダー・ファイナンス契約を結びました。その契約に基づき、売主は買主に対し購入額を貸与したことになります。その結果、売主は売却額に対する税金を支払わなければなりませんでした。
ケース 2 は自身のスーパーファンドに43万ドルの積立をし、世界金融危機発生時、慌ててその半分を引き出し、半年後には考え直して新たに10万ドルの積立をした納税者の話。
現在、65歳未満であれば、3年分45万ドルまでを一度自身のスーパーファンドへ積立てる事が出来ます(その後2年間は個人の積立不可)。しかし彼はこの45万ドルが純積立(実際に積立た額、即ち43万ドル÷2+10万ドル=31.5万ドル)だと思い約20万ドル引出しました。
このルールは至って簡単、45万ドル以上は積立ててはいけないのです。
したがって、彼は過剰に積立てた8万ドルに対する税金を支払ました。
ケース 3 は単なる株式投資家ではなく、シェア・トレーダーでもあれば株を売却した時の損失を申告できるのではないか?と主張した公務員のお話。
納税者は問題となる年に934,575ドルと385,938ドルもの収入がありましたが、このケースを審議したAAT(Association of Accounting Technicians)のメンバーは、これは趣味の範囲でビジネスではないと主張しました。
この納税者は、会計・税務の計算や株式取引を行う事を目的として、事務所を設けていたのにも関わらず、こういった結果となりました。
注釈: 明らかに、ケース3は、納税者の判断(株式取引が事業活動である)が正しいとも取れる内容ですが、不運にも納税者の誤りであったと判断されました。もしも、納税者が正しいアドバイスを求めていたならば、より株式取引は事業として確立しているように事業計画を作成する事が勧められていたことでしょう。
ケース1と2は正しいアドバイスがあればどちらも、納税者は多額の税金を支払わずに済んだことでしょう。
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