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オーストラリア ゴールドコーストの日本人公認会計士事務所
ブリース洋子 公認会計士事務所 アップデート 2013年7月号

オーストラリア国税局(ATO)租税回避スキームに対する警告

2013年度の所得税申告準備にあわせて、新手の複雑な租税回避スキームが市場に出回ってきています。これに対して、クリス・ジョーダン国税庁長官は、「現在の租税回避スキームは、昔のように露骨なうまい話ではないので、それだとわかりにくい。」とし、注意をするように呼びかけています。

近頃の多くの租税回避スキームは、経験豊富な投資家でさえ、「スキーム」だと判断するのが困難な複雑な構成で、その多くは、専門家から独自に承認を得たメディアや出版物を通して流通しているようです。

あるケースでは、海外の炭素削減活動を通して得られた「二酸化炭素排出権」の購入が促されました。(実際に支払った金額よりも多くの経費を、利用者は申請することができるという海外の金融商品でスキームとなります)。

「支払った金額よりも多くの額が、何のリスクもなく還元され、商品やサービスが実際に提供されていない場合、租税回避スキームと見なされる可能性が大きく、発覚すれば相当な追徴税が課せられるでしょう。」とジョーダン氏は警告しています。

GIC & SIC 新レート 20139月四半期

2013年9月四半期のGIC(ATOの一般的な利率)とSIC(不足分に対する利息への利率)が、以下に発表されました。

GICレート                      9.82%

GIC日割りレート             0.02690411%

SICレート                       5.82%

SIC日割りレート             0.01594520%

医療税増税が可決

DisabilityCare Australia legislation (障害者保険制度)へ資金を提供する為、医療税率が2014年7月より、現行の1.5%から2%へ引き上げられることが既に政府より発表されていましたが、この課税案が議会を通過し可決されました。

注釈: この課税案可決により、付加給付税(FBT), 家族信託分配税率や、スーパーアニュエーション積み立ての上限を超えた分にかかる税金への税率増加をもたらすことになり、201471日から、これらの税率は47%に増加するとされています。

ATOの新トラスト対策本部

近年、ATOはコンプライアンス(法令遵守)活動により、トラストを悪用した租税回避や脱税が増加しているという証拠を発見しました。

ATOは、トラストを利用して、情報を隠蔽したり取引の内容をごまかす、また、トラストの収入を偽って減税や脱税をしている納税者を対象に、活動を強化していくということです。

どんなトラストが調査の対象となるのでしょうか?

トラスト対策本部は、よりリスクの高い納税者を調査の対象とし、通常のトラストによる取引や、純粋に事業を行うトラストや家族トラストによる税金対策は対象としていません。つまり、スキームの促進者や、個人や企業でスキームを利用している場合を対象にコンプライアンス活動を実施する予定です。

最も深刻なケースには、捜査当局と連携し(例えば、海外当局との協力や「Project Wickenby*」を通して)刑事処罰が求められるということです。

*「Project Wickenby」とは複数の政府機関により設置された脱税対策対策本部の事です。

死後に得られるもスーパーファンドへの収入は無税!?

スーパーアニュエーションから収入(年金または一括払い)を受け取っている間に、受取人が亡くなった場合、(その人の)死後の財産にかかる税金について、政府は法律をより明確なものへと改訂をしました。

スーパーアニュエーション基金においては、メンバーに年金などの支払いを支給している場合、その支給額を支えるために得られる収入*は免税対象となります(*スーパーアニュエーションは、メンバーからの積み立て額を投資して、メンバーの積み立て額を増やしていきます。従って、その投資からは利息や配当などの収入が得られます)。.

改訂された法律によると、メンバーが亡くなる直前ま

でスーパー基金から支給額を受け取っていた場合、そのメンバーの死亡時と残金が現金化されるまでの間に限り、その残金から得られる収入に対しては、課税されないということになりました。現金化するには、以下のどちらかひとつ、または両方の方法があります。

  • 残金を一括で支給する。
  • 新たな定期的な年金支給をする。

どちらにしても、できるだけ早い時期に現金化をする必要があります。

どれだけ免税されるかは、亡くなったメンバーが受けていた時と同様にということになります。

事業の減価償却ルールがより簡素化

ATOは、200万ドル未満の売上高の小企業(Small business entities )については、事業用資産の減価償却のルールが、2012/3年度の会計年度以降は、より簡素化されると述べています。

6,500ドル以下の資産

小企業の資産については、これまで1,000ドル未満の資産については、その年度内に一括で全額を償却できていましたが、限度額が6,500ドルへ大幅に引き上げられました。2012年7月以降に購入した資産は6,500ドル以下のものであれば一括償却されます。

6,500ドル以上の資産

これまでは資産を耐久年数別に分け減価償却率が適用されていましたが、2013会計年度より、6,500ドルもしくはそれ以上の資産は、耐久年数に関わらず、単一のグループとして初年度は15%、次年度より30%の減価償却が可能になりました。

車両

小企業は、車両を購入した会計年度については、通常の減価償却額に加えて5000ドルまで減価償却が可能となります。

ビジネスのみの目的で使用される車両で、上記の6,500ドル一括償却がされていないものについては、初年度には5,000ドル+残存価格の15%を償却することができます。

例)  ビジネスのみの目的で、小企業が2013年6月29日に車両を20,000ドルで購入した場合の初年度の減価償却

新ルール

$5,000 + ($20,000 – $5,000) x 15% = $7,250

旧ルール

$20,000 x 15% = $3,000

仕事関連の経費

毎年180億ドルの仕事関連の経費(WREs)が申請されています。 ATOが注目するのは、(1)多額の経費が申請されているケース、(2)申請額が増加している職種、この他に(3)特定の職種に適していないと思われる経費申請についてだということです。

今年の注目は?

今年ATOは下記の職種で働く218,000の従業員に注意を促す手紙を出しました。

● 建設業のプロジェクトマネージャーとスーパーバイザー

● 建設会社従業員

● セールス・マーケティングマネージャー

通勤車両の申請

多くの建設業界の従業員は毎日車で通勤します。その通勤車に、下記の理由で大きな機材を積まなければならなかったという事実が証明できれば、その費用は控除の対象とされます。

●   雇用主が仕事として機材を運ぶ為に必要だと判断した

●  仕事場に機材を保管する場所がなかった。もし雇用主が安全な保管場所を提供するなら控除にはならない

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