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オーストラリア ゴールドコーストの日本人公認会計士事務所
ブリース洋子 公認会計士事務所 アップデート 2012年11月号

オーストラリア国税局(ATO)小規模事業の基準

注釈:最近、ATOは、100種類以上の業界の基準値を認定しました。今後も、より多くの業界の基準値が設定されるということです。

各業界の基準値が、ATOにより設定されてきましたた。 その目的は、それぞれの業界の大中小事業の「あるべき」数値、例えば収入に対する経費の比率など、の範囲を示すためです。

こうした業界の基準値を設定することにより、現金商売をしている事業で、現金売上を「ごまかし」たり、現金で給与を支払っていたり、二重帳簿をつけていたり、売上や仕入れを正しく記録していないようなケースを見つけていくことをATOは目指しています。

最近発行された文書「記帳と現金による取引 - ’Record keeping and cash transactions’」によると、とにかく記帳をきちんとしていくことが重要だと、ATOは指摘しています。

もしも、事業が、ATOに報告している収入と経費を裏付けることができる記録がなく、しかもそれらの記録が業界基準値に満たない場合には、ATOは業界基準に一致するように、税申告書を訂正するということです。

実際には、業界基準はどのように機能するのか?

ピザのテイクアウエイのお店を例に挙げます。ATOが設定した業界基準値によると、ピザ店の平均売上は、年間で$150,000から$600,000、売上原価率は40%だとされています。

ということは、もしもピザ店の売上が$200,000である場合、売上原価が$120,000(60%)だとしたら、ATOは、基準値内の数字ではないということで、事業主に連絡する可能性があります。

もしも、基準値内でない訳を証明できる資料を、事業主が提出できない場合には、ATOは、一度報告された数字を、基準値に合うように調整する可能性があります。(例:売上を$300,000増やすことにより、売上原価$120,000が、売上の40%になるように調整するなど)。

注釈:基準値確立は、基準値内で事業を行っているのか、または基準値内でないとしたら、その理由を証明する記録があるのかを判断する材料となります。もしも、皆様の事業の数字が、その業界の基準内に位置するのかどうかの確認、または記帳方法などについての質問がある場合には、当事務所までご連絡ください。

契約社員への支払いに関するデータ:

ATOの新照合プログラム

ATOは、2010年から2013年度の間に、約75,000人の契約社員への支払いについて、情報を収集してきています。

収集された情報は、ATOのデータと照合され、税法に基づいた申告や報告がされていない支払いを確認していくとのことです。その結果、ATOは以下のプログラムを実行していくとしています。

u   正しく納税していないと見られる契約社員の素行を確認する

u   自発的に申告・報告を奨励するために、契約社員たちに対して的確な教育をするような戦略を確立していく。

注釈:ATOのホームページには、従業員か契約社員かを決定するのに参考となる、「従業員か契約社員かの判断機能 ‘decision tool’」というページが掲載されています。

搭乗しない旅客へ発行された航空券にも消費税はかかる?

注釈:以下は、何らかの商品やサービスを供給するために集金したが、実際には商品やサービスを供給しないことがある事業にとっては、重要なケースです。返金をしない限り、消費税の対象になる可能性があるということになります。

カンタス航空に対して、最高裁判所は、「一度受け取った航空運賃を払い戻さない(または払い戻されるが受取人が申請しない)場合に、航空運賃に含まれる消費税を、納税するべきだ」と、判決を下しました。「対価に対する供給はされた」として、乗客が購入した航空券の便を利用しなくても、カンタス航空は、消費税を納める義務があるという判決内容です。

これに対し、カンタス航空は、利用されなかった便の航空運賃に含まれる消費税を納税する義務はないと反論しました。

しかし、利用便予約に関する契約書を再度確認したところ、カンタス航空は、飛行機を運航するにあたり、「乗客と荷物を運送するために最善の努力を尽くす」

という約束を、少なくとも「供給」していると結論付けました。従って、これは「課税対象となる供給」が乗客により受け取られたため、カンタス航空は、消費税を納税する義務があるということです。

スーパーファンドへの積立上限:

個人で75歳以上の場合

2012年7月1日より、経費として申告できる(所得をその分減らすことができるので節税になる)年金の積立の上限は、一様に$25,000となりました。(年齢に関係なくなりました)

しかし、ATOは、以下の忠告をしています。

     年金基金(スーパーファンド)は、これまで通り、75歳以上の従業員に関しては、雇用主からの法定積立のみを受け付ける。

       雇用主からの法定積立が75歳以上の従業員のためにされた場合、$25,000上限ルールが適用される。

       雇用主からの法定積立以外の積立は、75歳以上の場合は適用されない。

注釈:雇用主からの法定積立とは、雇用主にYよる従業員のための最低限法定積立(今現在70歳以上の従業員の場合には、積立の義務はないが、201371日より、年齢に関係なく積み立てる義務がある)、また、労働法による積立のことです。

車両を従業員に支給する場合にはご注意!

本会計年度において、ATOは、2011および2012 FBT(付加給付税)年度内に車を購入した雇用主が、FBTの義務を怠っていないかどうか、確認するキャンペーンを開始するとのことです。

注釈:FBTとは、社用車両を従業員に支給することにより発生する付加給付税のことで、その会計年度は。41日から翌年の331日までです。

必要な情報は、車両登録団体から得られ、社用車を購入したが、FBTに登録していない雇用主の身元を確認します。

その結果、ATOはおよそ5,000雇用主に手紙を送り、FBTとは何か、そのルールに従うためには何をした

ら良いのかを説明していきます。

ATOがとくに注目するのは以下の点です。

・ 車両が自宅のガレージに停めてある場合には、私用車であると見なします。

・  一般的に、通勤に使用している車両は、私用車と見なします。

・ 従業員が私用で社用車を使用する場合には、限られた場合においてのみFBTは免除されます。

ディレクターの義務

注釈:近頃、会社のディレクターとしての義務に関する改正がありました。ATOは、この改正により、ある一定の会社の義務を怠った場合、ディレクターの個人的責任になる場合があるので、注意をするようにと呼びかけています。

2012年6月29日、会社が不正な活動を行ったり、従業員が受けるべき権利や支払いから、会社が逃れることを阻止するために、税法に改正がされました。

その改正内容を以下にまとめました。

・  スーパーへの法定最低積立がされない場合、ディレクター個人に罰金が課せられることとなりました。

・  従業員への給料からの源泉徴収や、スーパーへの法定最低積立がされていない場合、または期日までに申告されていない場合には、ディレクターは、それらの義務を、会社を行政または破産管理者の管理下におくことにより、罰金から免除されるのを防ぐ。

・ 会社がATOに対して納税する義務のある源泉徴収税の納税を怠った場合には、場合によっては、ディレクターおよびその家族などの関係者に対して「源泉徴収不履行税」を課すこともある。それにより、ディレクター自身または関係者に支払われた給与からの源泉徴収額を減らし、その分、(ディレクターや家族などの関係者の)納税額が多くなるという仕組みを適用。

※内容について、ご質問がある場合には、当所にお問い合わせください。
※本書の内容は、一般的です。個々の状況を判断・決定する場合には、必ず専門家にご相談ください。

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ブリース洋子 公認会計士事務所 アップデート 2012年10月号

オーストラリア国税局、タックス・ファイル・ナンバー(TFN)通知義務を強化

オーストラリア国税局(ATO)は、2011年度トラスト税申告書を検分し、トラストの受益人で配分を受け取ったが、TFNをATOに知らせていないケースを調査していくと、近頃発表しました。

注釈:ATOは、監査キャンペーンを強化し、受益人のTFNが通知されていない場合には、源泉徴収税を課税していくようです。

これまでの背景からして、一般に、受益人が、TFNを通知していない場合、Trustee (信託人)は、分配金から46.5%の源泉徴収をすることを義務付けられています。TFNが通知されていない場合には、罰金が課せられることもあります。

信託人は、トラストからの利益を受益人に分配する場合には、その前に、受益人のTFNをATOに通知することが重要となります。


コンプライアンス活動

ATOは、以下の点を基準に、監査の対象となる信託者を選びます。

・ 配分する利益の規模

・ 受益人が、受け取った配分を、収入として税申告したか?

監査対象となった信託者には、以下の内容の手紙が送付されます。

・ 手紙の内容説明

・ ATOが把握している事実説明

・ ATOが把握している事実に相違がないかを、信託者に確認依頼

・ 今後、過ちをどのように改善していくのかを説明し、結果、罰金/放免が課せられる可能性があることを説明


超過積立金:納税者が勝利したケース

注釈:以下のケースは、スーパーファンドに超過積み立てしたとされ、追加調整査定書を受け取った納税者が、自分の場合は、「特例」だったとして、考慮を要求した結果、その申し立てが認められたものです。


ケースについて

2010年度に、納税者の雇用主は、納税者のスーパーファンドに$71,551積み立てをしました。これは、上限額である$50,000を$21,551超過したことになります。

雇用主は、ふたつのファンドに対して積み立てをしました。それぞれの積立額は、AMPに$25,367、 Tasplanに$46,184です。

納税者は、2009年会計年度内に、AMPの4.5%のコミッションに不満を持っていたため、雇用主2009年7月1日より、AMPへの積み立てを止め、Tasplanへ全ての積み立てをするように依頼しました。

納税者に知らさることなく、雇用主は、2009年7月(2010年度)に、2009年度分として、$25,367をAMPに.積み立ててしまったのです。

その結果、納税者は、$21,551文、積立額を超えたとして、$6,788.70の納税が課せられてしまいました。.

納税者は、本件は特例であり、超過積立としての扱われるべきではなく、または、2009年度分として扱うべきであり、超過積立への課税は免除されるべきだと申し立てました。


行政裁判所(AAT)の判定

全ての積立は、2009年7月1日から、Tasplanに積み立てるはずであったため、2009年7月に、AMPに積み立てられたということを、納税者が知らなかったということは、十分に理解できると、AATは、述べています。

AATによると、これらの事実は、「特例」として扱うに値するケースだとしました。 AAT は、2009年7月にAMPに積み立てられた$25,367(本来ならば、2010年度分として扱うべき積立)を、2009年度分として扱うように指示しました。 結果、納税者に、税金が課せられることはなくなりました。


事業が「事業」となる条件とは?

注釈:近頃、事業を行っているのかどうかという点が争点になりました。 数々のAATのケースの中で、特に注目を引くケースがありました。

そのケースの中で、納税者は、自身が第一次産業(農業、林業、漁業など)を行っていることを証明することができませんでした。


ケースについて

納税者は、クィーンズランド州に500エーカーの土地を所有していました。 納税者は、2004年から2009年にかけて、第一次産業を経営しているとして、土地開発費お

よび、その他の経費をタックスリターンの中で申告していました。

納税者は、この間、争点となっている、14種類もの第一次産業とした活動を行っていました。それらは、豚の放し飼い、木材栽培、牛の飼育と、欄栽培などです。

不運なことに、これらの活動からは、納税者は、全く収入を得ていませんでした。 また、事業を開始する計画の段階でしかありませんでした。.

このケースにおいては、納税者が事業に対して純粋に関心があったこと、そして、事業活動を行っていたと信じている点は、疑いの余地もありません。それは、あらゆる事業計画の作成や、さまざまな事業に対する研究により、裏付けられています。

このケースで、ATOが問題にしているのは、納税者の活動は、実際に「事業」としての段階に達していなかったこと、事業を行う準備段階に過ぎなかった点でした。


AAT の判定

AATは、ATOの結論である「納税者の活動は、実際に事業を行っていたとは言えないと」という点を確認しました。そして、納税者の事業に対する純粋な関心と事業活動をしたいという気持ちは理解できるものの、実際には事業活動の滞伏期間であったと結論付けました。


詐欺にご注意!

ATOは、納税者に対し、偽の求人広告、メールおよび偽の電話連絡などに注意をするよう、再び注意を呼びかけています。

今年度になって、ATOの名前を語った偽のメールについて6000件、電話連絡については、4000件の報告を受けています。

納税者のTFNを尋ねることができるのは、以下のような、限られた人々または機関となります。

・ ATO「オーストラリア国税局」;

・ ATOの従業員(ただし、ATOに勤務するようになってからのみ)

・  納税者の銀行または、その他の金融機関

・  センターリンク

・  納税者のスーパーアニュエーション基金

注釈:重要な点は、ATOからだと語るメールについては、リンクなどを開けないことです。電話や、ポータルなどで、まず確認しましょう。


二人以上の雇用主から給与を受け取る場合

ATOは、「ふたりの雇用主からお給料を受ける場合(When you have income from two payers)」という見出しの情報を更新しました。これにより、納税者は、二人以上の雇用主から給与を受ける場合、非課税額を両方から申請できるということを知らせています。

これは、2012年7月1日より、個人の非課税額が、$6,000 から $18,200 になることを受けての更新です。 しかしながら、 二人以上の雇用主から非課税額を申請できるのは、その納税者の所得が、$18,200を越えないということが確実である場合のみです。


GIC & SIC 新レート- 2010年12月四半期

2012年12月四半期のGIC (ATOの一般的な利率)と SIC (不足分に対する利率)が、以下に発表されました

GIC レート                                                   10.62%

GIC 日割りレート                                  0.02901639%

SIC レート                                                     6.62%

SIC 日割りレート                                  0.01808743%

また、納税者が過分に納税してしまった場合、早期に納税した場合、ATOからの還付が遅れた場合に適用されるレートは、3.62%.です。

※内容について、ご質問がある場合には、当所にお問い合わせください。
※本書の内容は、一般的です。個々の状況を判断・決定する場合には、必ず専門家にご相談ください。

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ブリース洋子 公認会計士事務所 アップデート  2012年9月号

中小規模事業への監査

オーストラリア国税局(ATO)は、中小規模の事業(Small to Medium Enterprises を略して「SME」と呼びます)に対しての監査を強化すると忠告しています。

最初の12ヶ月は、ATO内でも限られたオフィスおよびチームのみが監査の業務にあたりますが、その後は、ごく通常の業務として中小事業の監査が行われるようになります。

監査は、2012/2013年度の第一(2012年7月1日から2012年9月30日まで)および第二四半期(2012年10月1日から2012年12月31日まで)から、まずはメルボルンとブリスベンの事業を対象に開始されます。

監査手順

監査対象となる事業主に、まずは電話連絡がされ、その後、監査開始の2週間前には確認の手紙が送付されます。

監査自体は、事業が営まれる場所にて実施されます。期間は、1週間から2週間かかります。

ATOによると、まずは経費関連の監査が行われ、その後、特に関心を引くような項目について調査をしていくということです。


小規模事業の基準指標

最近の国税当局長官 の演説によりますと、事業の基準指標が示された業界のうち、およそ90%の事業は、その基準指標内に位置づけられているということです。

一方で、76,000の事業は、それらの基準をはるかに下回ると報告されています。

更に、2010/11年度に、ATOは30,000事業にそれぞれの業界の基準指標についての手紙を送り、その結果、うち17%の事業は、基準指標に近い額の収入を報告するようになったということです。

基準指標に基づいたATOの指導により、5,000以上の事業は、リスクが低くなり、監査の対象になる確率が低くなったということであると、ATOは述べています。

左官業およびカフェ業界が、ATOの2012/13年度のコンプライアンスプログラムの対象として選ばれました。このコンプライアンスプログラムは、先に述べた、業界指標に関する指導の成功に答え、世間からの要望や過去の傾向にあわせたものであるということです。


FBT
の新しい20定率と落とし穴

注釈:社用車両を従業員に支給することにより発生する付加給付税(FBT)を計算するのに、最も簡単な方法は、法定計算法です。

今後数年にわたり、20%一律が適用されることにより、この方法は簡略化されます(これまでは、走行距離により適用する率が異なりました。走行距離が長ければ長いほど、納税額が少なくなります)。しかし、場合によっては、これまでの方法が適用される場合もあります。

雇用主が、車両を従業員のためにリースする場合には、従来のFBTの計算方法、(すなわち走行距離により計算率が異なる方法)が適用されないように、注意をしましょう。

例えば、これまでのリース契約を解約して、新しい契約をする場合、従来のFBTの計算方法があてはまることになります。新しい20%という率(または暫定期間に設置された率)は、次のFBT年度(毎年4月1日から翌年の3月31日まで)から適用されることになります。

その他にも、以下のような場合には、20%一律が適用されるのは、次のFBT年度になってからということになります(すぐには20%という率を適用することができないということ)。

・   車を借り替える場合

・   現在のリース契約に変更をする場合。リース期間を変更したり、車の残存価格を変更したりというのが、
その例です。

・   リースが開始した後に、車のアクセサリー(例えば窓のティンティング、DVDプレイヤー、荷物代 または
ブルバーなど)をリースした車に付け加えた結果、リースの支払額が増加した場合

こういった変更が起こり、それが同じ雇用主のもとで起こった場合には、20%一律(または暫定期間内に設定された率)は、翌年のFBT年度から適用されることとなります。


セル・マネージド・スーパー・ファンド(
SMSF)に影響をおよぼす変更

政府は、2012/13年度より加わった、SMSFに対する新たな条件に対応するため、SIS(Superannuation Industry Supervisionの略:年金に関する法律)規制を訂正しました。

新規制には、以下の要綱が加えられました。

・ SMSFの信託者は、メンバー(受益人)のためにファンドの投資戦略の一環として、保険を考慮する必要がある

・ SMSFの現金とその他の資産は、信託者(または雇用主)が個人的に所有している資産とは、別に保管する必要がある

・ SMSF の資産は、決算報告書にて時価総額を記載する必要がある


ATO
、従業員vs契約社員問題に取組む

国税当局は、新しく「従業員それとも契約社員?」という新しいホームページを開設しました。このホームページでは、雇用に関して混乱しやすい問題について説明しています。また、同ホームページには、雇っている人が、従業員なのか契約社員なのかを決定する際に、雇用主が誤った判断をしてしまう理由を述べています。

更に、新ホームページには、自分のもとで働く人々が、従業員なのか契約社員なのか、雇用主が判断するためのガイドが記載されています。 その中には、以下のような内容も含まれています。

・ 全ての事業主が知っておくべき基本事項

・   雇用主が犯すよくある間違い

・   業界特有の情報

・   従業員であるのか契約社員であるのかを決定するガイド

・   従業員または契約社員に対する雇用主の義務

http://www.ato.gov.au/content/00326451.htm

注釈:ATOのホームページをご欄になり、質問がある方は、当所までお問い合わせください。

トラストの受益人は、4年まで遡って、税申告書を訂正することができるのか?

本来、個人の確定申告の訂正期間は、2年であるところ、最近の事例で、裁量トラストの受益人である可能性のある納税者で、実際には、トラストから配分を受け取っていなかったのにも関わらず、4年前の確定申告訂正を、AAT(行政控訴裁判所)により認められました。

その結果、その納税者の確定申告は、4年前まで遡って、国税局により訂正されました。

注釈:例えトラストから分配をうけていなくても(または、トラストの受益人であるということを知らなくても)、この事例により、裁量トラストの受益人であれば誰にでも4年間訂正ルールがあてはまる可能性がでてきました。

本事例の再審議がされ、判定が覆されることを関係者は願っていますが、そうならない場合には、何らかの法律設定が必要になるでしょう。新しい情報が入り次第、お知らせします。

非営利団体-所得税に関するATOの新ガイド

ATOは、非営利団体の所得税に関する新ガイドを発表しました。新ガイドには、以下のような詳しい情報が記載されています。

・ どのような非営利団体が、所得税に関して自己査定ができるのか?

・  非営利団体が、非課税団体であるか否かを判断するための判断方法の説明

・  非営利団体としての恩恵と義務

これらの情報は、オンラインによるもので、資料の請求はできないということです。

更に、ATOは、非営利団体が、課税団体であるのか非営利団体であるのかを自己診断するワークシートも発行したということです。

※内容について、ご質問がある場合には、当所にお問い合わせください。
※本書の内容は、一般的です。個々の状況を判断・決定する場合には、必ず専門家にご相談ください。

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ブリース洋子 公認会計士事務所 アップデート  2012年8月号

オーストラリア国税局(ATO) コンプライアンス(法令遵守)・プログラム2012/13

ATOは、「コンプライアンス・プログラム2012/13を発表しました。

今後、ATOが特に注目する分野について要点を述べています。ATOのコンプライアンス活動及び実行方法について、地域社会が理解する機会を与えられるのは、重要であると述べています。

今年度、税金およびスーパーアニュエーションに関するコンプライアンスにおいて、極めてリスクが高いとするのは、以下の分野だとATOは認定しています。

• IT関連のマネージャー職、配管工、軍兵士など、職業関連の経費が比較的多額の職種。

• 租税回避の可能性がある高所得者で、特に、市場に広く出回っている金融商品により、大きな節税が謡われているようなものによる租税回避、医師による投資などが注目されます。

• 左官やカフェ業界における記録のない現金取引

• 請負契約、特に建設業界およびセルフ・マネージド・スーパー・ファンド(自分で設立した年金基金)セクターにおける請負契約

• リスクの高い産業における年金積立についての雇用主の義務

今年度も、ATOは、第三者から提供された情報を分析することにより、誤った申告を阻止し、犯罪発見を優先するとしています。

ATOは、申告されていない配当や利息、キャピタルゲイン、および外国からの収入を判明するため、600万もの入出金を確認すると述べています。

昨年度、誤った、または不正の可能性が見られる税申告109,000件以上を確認することにより、「約200万ドルを節約することができた」とATOは報告しています。


税法の改定:
ATO の判断による還付金一時保留

最近の税法の改定により、ATOは、申告内容の確認が終了するまで、還付金を保留することが許されるようになりました。

これは、還付金一時保留を決定するにあたり、一定のテストが実施されるものの、「正しいことをする人々を支持し、不正活動を発見する機能を強化するため」の改定であるとATOは述べています。

本改定は、以下の場合に適用されます。

  • 消費税申告による還付
  • 自己申告による所得税に関する還付 (主に会社およびスーパーファンド)

しかし、個人の所得税には、この変更は適用されず、従来通りの方法によるものだとしています。

ATOが、還付金を保留する場合、その旨と、保留期間を納税者に伝えることが義務付けられています。


2012/13
年度分割予定納税計算に適用されるGDP(国民総生産) 調整

ATOは、2012年7月1日より、四半期毎に徴収する予定納税額計算に適用されるGDPの%を、6%に調整することを発表しました。(注釈:現時点の会計年度に見合った所得税額を、できるだけ正確に算出するため、経済情勢を反映する予定納税額にする必要があります。そのため、GDPの%を調整する必要があります。)

GDP%の調整は、前年度の情報を基に算出されるため、調整は、実際の経済状況を、必ずしも反映しているとは限らないと、ATOは理解しています。

経済成長に時間を要する時には、GDP %は比較的高いが、急成長をしている時には、GDP %は比較的低いとされています。

注釈:ATOが計算した予想納税額が、実際に予測される納税額より多すぎるまたは低すぎるとお考えの場合には、当所にご連絡ください。納税額を変えることが可能です。しかし、確定申告の際に算出される納税額が、実際に納税した予想納税額合計の85%を満たない場合には、不足分に利息が加算される場合がありますので、ご注意ください。


建設業界:請負業者への支払い報告義務

建設・建築業界は、2012/13年度より、請負業者に支払った金額の合計を、ATOに報告する義務が生じます。.

これまで、受け取った報酬を正しく申告していない請負業者が見られるため、その状況を改善するのが目的です。

以下の条件のうち、全てが当てはまるビジネスにのみ、この報告義務は適用されます。

  • 主に、建設・建築業であること
  • 建設・建築業務に対する報酬として、請負業者に支払っている
  • Australian business number (ABN)を持っている

個々の支払いについての報告義務はありませんが、それぞれの請負業者への支払い総額を報告する必要があります、

請負業者からの請求書に、労働費と材料費が含まれている場合、それが種類別に分かれていても、分かれていなくても、合計支払い額を報告すれば良いとしています。

2012/13年度の支払いに関しては、2013年7月21日までに報告する必要がります。消費税申告を四半期毎に申告するビジネスの場合には、締め切りは2013年7月28日まで認められるということです。

注釈:請負業者への支払い報告義務が、あてはまると思われる方は、当所にご連絡ください。


2012/13
年度車両減価償却上限

2012/13年度の車両減価償却の上限は、$57,466と発表されました ( 2011/12年度より変更なし).

2012年7月9日に、Aさんは、事業用に$65,000 の車両を購入しました。

2012/13年度の車両減価償却は、車両の購入額が、例え$65,000でも、上限の$57,466をもとに計算されます。.

注釈:高級車に対する特別税の非課税額は、2012/13年度に関しては、$59,133ですので、ご注意ください。


2012/13
年度超過勤務時間の食事手当額

裁定、命令書、裁決、産業契約または連邦・州・準州法により、超過勤務時間の食事手当てが支給される場合、2012/13年度の適額は、一食につき27.10とされます。

超過勤務時間の食事手当てが、適額を超過しない場合は、源泉徴収表に「手当て」として記載する必要はありません。また、支給された手当てが、全て、経費として認められるものに費やされた場合には、従業員は、税申告時に申告する必要はありません。

注釈:旅費などの、この他の「手当て」について、ご質問がある場合には、当所にご連絡ください。

※内容について、御質問がある場合には、当所にお問い合わせください。
※本書の内容は、一般的なものです。個々の状況を判断・決定する場合には、必ず専門家にご相談ください。

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