オーストラリアで事業を行うにあたり、まずは最適な事業形態を決定する必要があります。
事業形態を正しく決定することにより、節税をし、リスクの軽減または回避をすることができます。
オーストラリアの事業形態は大きく分けて、以下の4つになります。
- 個人
- 会社
- トラスト
- パートナーシップ
この中で最も簡単に設立できるのが、個人による事業です。英語で個人事業主のことをSole Trader
と言います。個人事業形態の長所を以下に要約しました。
- 低コストで設立することができる。
会社やトラストを設立するのと違い、設立費用はかからない。
かかるのは、ビジネスネームの登録代、および会計および法律に関するアドバイスを受けた
場合のコンサルタントへの費用のみ。 - 個人事業により得られる事業利益は、事業主の税申告と合算され、課税される。
従って、事業から赤字が発生した場合には、事業主の他の収入(利息収入や雇用による収入など)と
相殺することが可能となる(ただし、いくつかの条件を満たす必要があるのでご相談ください)
ので、節税ができる。 - 資産を売却または譲渡することにより、個人が利益を得た場合には、利益の半分にしか
課税されない(50%ディスカウントルール)。
例えば、個人事業主が所有する商業物件が売却され、結果$100,000の利益を得た場合、
その半分である$50,000にしか課税されない。
会社の場合には、50%ディスカウントルールは適用されない。
従って、上記の例によると、$100,000の利益に30%課税されることとなる。
個人で事業を行う場合、以下の短所が挙げられます。
- 利益を分割することができない。
個人事業主はその利益を配偶者と分割することができない。
パートナーシップの場合には、パートナー同士で決めた割合に従い利益を分割することができるが、
個人事業主の場合には、利益は、100%事業主の所得となる。 - リスクの高い事業を行う場合、個人事業は資産を保護する機能が欠けている。
事業に対して訴訟を起こされたり、支払いが滞った場合などは事業主が、100%の
責任を負うこととなる。
従って、事業主の資産が脅かされることとなる。 - 事業が大きな利益を得る場合には、事業主の他の収入と総合課税されるため、
高税率が適用されることとなる。
個人の場合、累進課税が適用されるため、最高で46.5%の税率で納税額を計算されることとなる。
会社の場合には、30%一律の税率なので、大きな利益が見込まれる事業の場合には、
個人事業は適していないと言える。 - 事業主が退職または死亡した場合、事業を継続することができなくなる。
低コストで設立できる個人事業ですが、規模が大きくリスクが高い事業内容の場合には、
節税と資産保護の観点からあまりお勧めできない形態と言えるでしょう。
次回は、会社で事業を行う場合の長所と短所についてご案内します。
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