オーストラリア2016年度予算案

先日、発表されたオーストラリア連邦政府の2016年度予算案について、気になる点をまとめてみました。前回は、弱者に厳しいといわれた予算案でしたが、今回は、弱者に優しくなったかなと思われる内容です。小規模事業主は嬉しいけれども、ワーキングホリデーの皆さんには、厳しい内容です。

 

小規模事業 (年間の売上が200万ドル未満の事業)への予算案

1)税率

年間の売上が、200万ドル未満の会社にとっては良いお知らせです。これまで一律で30%だった法人税が、2016年会計年度(2015年7月1日から2016年6月30日)から、1.5%減税され、28.5%となります。

 

また、会社形態以外の小規模事業(個人事業主、トラスト、パートナーシップ)には、5%

の減税措置が2016年度より施行されます。

 

2)固定資産一括経費控除

さらに、2015年5月12日から2017年6月30日の限定期間ですが、小規模事業主は、固定資産を購入した場合、$20,000まで一括で経費とすることができるようになります。これまでは、小規模事業が、一括で経費控除とできたのは、$1,000未満の固定資産に限られていましたので、かなりの節税になります。

 

3)事業設立費用一括経費控除

このほかに、事業を設立する際にかかる弁護士費用、会計費用、会社設立費用などは、これまでは5年間で償却するというルールでしたが、2016年度より、一括で経費とすることができます。

 

4)事業形態を簡単に変えることができるように

例えば、現在事業を個人事業主形態で行っている場合、業務拡張などの理由から、会社形態を変えたいとします。現時点では、こういった行為は、まるで独立した個人事業主が、関係のない別の会社に事業を譲渡(売却)したとみなされます。従って、譲渡(売却)利益が発生すれば、キャピタルゲイン税の対象となります。しかし、今回の予算案により、2017年度より、小規模事業でこういった事業形態を変更する場合には、譲渡利益が出たとしても、キャピタルゲイン税の対象にならなくなります。小規模事業主は、時勢、規模、経営状態に応じて、気軽に事業形態を変えることができるようになります

5)持ち運びに便利なラップトップやipad-フリンジベネフィット税免除

現在、雇用主が、従業員に、ラップトップ、ipadなど、持ち運びに便利な電気機器を支給した場合、一つまではフリンジベネフィット税の対象になりません。フリンジベネフィット税とは、雇用主が、従業員に対して、給料以外のベネフィットを支給した場合に課せられる税金のことです(要は、雇用主が従業員にベネフィットを支給するならば、お給料として渡しなさいというメッセージが込められています)。2016年4月1日からは、業務に必要であれば、こういった電気機器を二つ以上支給したとしても、フリンジベネフィット税の対象にはならなくなります。

 

個人納税者への予算案

6)車両経費の計算方法が変わります

現在は、車両経費の計算には、4つの方法があります。このうち、車両の購入価格の12%を経費とする方法と、車両経費の1/3を税金の計算上の経費とする方法は、あまり用いられていません。 車両経費を申告する納税者の2%にも満たない人口が、このふたつの計算方法を使っているということです。2016年度より、この二つの計算方法は排除されます。

 

残りの二つの計算方法は、仕事で使用した走行距離にエンジンサイズにより異なる金額をかけることで算出される、Cents per Kmというものと、車両の目的を私用と仕事用にわけて、目的地、走行距離を記録することにより、仕事で使った%を算出するログブックを使った方法です。

 

2016年度より、Cents per Kmの方法は、エンジンサイズに関係なく1Kmにつき66セントが適用されるようになります。 この方法では、最高で5000Kmまでしか経費計上できません(従って、$3300まで)(現在も2016年度以降も)。ログブックを用いた計算方法は、従来のままとなります。

 

結果的に、5000Km以上の経費計上をする納税者は、ログブックを記録するしか方法がなくなります。

 

7)ワーキングホリデーは非居住者

現在、ワーキングホリデーで、オーストラリアに滞在している人たちは、条件を満たせば(半年以上オーストラリアの一定の場所に住んでいる場合)、税金上の「居住者」として税申告をしても認められています。税金上の居住者として認められれば、居住者の税率が適用されます。(居住者の場合には、$18200までは非課税で、その税率は、非居住者の税率と比べて、低い)従って、雇用主がワーキングホリデーの従業員から、「非居住者」の高い税率で、お給料から源泉徴収している場合には、「居住者」として税申告(タックスリターン)をすることにより、オーストラリア国税局から、還付をうけるということが多々あります。

 

しかし、2016年7月1日より、滞在期間に関係なく、ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在している人は、税金上の非居住者とみなされるようになります。つまり、$1の所得に対して、32.5%の税金が課せられることになります。

 

8)医療税免除非課税額

所得により、医療税が免除されます。この非課税額が、2015年度より、引き上げられます。個人の納税者の場合には、現在の$20,542から$20,896、子どものない夫婦については、$34,367から$35,261。子どもがひとり増えるごとに非課税額は$3,238増えます。

また、独身の年金受給者については、非課税額は$32,279から$33,044に増えます。

 

9)チャイルドケア費負担

2017年7月1日より 共働きの夫婦の収入が、合わせて$60,000未満の場合には、子どものチャイルドケアへの支払の85%までを政府に支給してもらえるようになります。夫婦の収入が合わせて$165,000未満となると、支給額は50%になります。合計の収入が$180,000以上となると、年間の支給額は子どもひとりにつき$10,000となります。

上記の支給を受けるためには、対象となる夫婦は、2週間で最低8時間、就労、就学、またはトレーニングをうけていなければなりません。

 

10)GST

海外からのサービスを受けた場合にもGSTがかかるようになります。

2017月1日から、オーストラリアの消費者が、海外から映画、音楽、アプリ、ゲーム、本などをダウンロードしたり、コンサルティングなどのサービスを受けた場合にも、GSTが課せられるようになります。

 

ブリース洋子

2015年5月14日